肥大化した脂肪細胞、
特に内臓脂肪細胞は
色々なサイトカインやホルモンを作っています。
サイトカインもホルモンも
体に影響を与える薬の様なものです。
(実際に薬となっているものもたくさんあります)
その中の一つ
PAI-1(plasminogen activotor inhibitor 1
プラスミノーゲン アクチベーター インヒビター1)
は悪玉の代表の様に言われています。
もともとは血管内皮細胞、
つまり血管を作る細胞の内側の細胞や
肝臓が作っていて、
血小板なども持っている
ポリペプチド(タンパク質の小さいのみたいなもの)です。
血管に傷がついた場合、
傷からの出血を止めるために血小板が集まり、
フィブリンという網のような線維を作り
血栓が作られます。
その後、血管の穴をふさぎ修復していきます。
血管治った後では今度は血栓が邪魔になります。
そこで、この血栓を溶かす働きが体の中に予め備わっています。
このような作用をする物質としてプラスミンがあります。
PAI-1はそのプラスミンを作らせにくくするのです。
結果としてできてしまった血の塊が溶けにくくなり、
血管内に血栓が残ってしまう、というわけです。
悪玉悪玉、なんて言われますが、
PAI-1が完全にないと、常に大出血を起こしやすく、
流産しやすいことが知られています。
つまり、体には必要なものなのです。
でも、多すぎると困りもの。
脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化に関連した病気だけでなく、
ガンでもPAI-1が多いと、たちが悪いことが知られています。
要は、不要なPAI-1は作らせないこと、
つまり内臓脂肪の細胞の大きさを
小さくすることが大切なのですね。
PAI-1に特化した食事を考えてみると
健全な人での実験ですが、
脂肪が30%以下と少なく炭水化物の多い食事を24日間食べ、
その後、
オレイン酸などの単価不飽和脂肪24%で脂肪が38%程度の
脂肪が多い食事を24日間食べて、
検査しています。
(*オレイン酸はオリーブオイルなどに多い成分。)
すると、
脂質の多い食事は脂肪が少なく糖質の多い食事よりも
PAI-1がたった24日間で減っていました。
また、別の調査ですが、
平均年齢50代前半の883人の男性と1116人の女性で、
食事とPAI-1の関係を調べています。
食事中に線維が多かった方がPAI-1が
少なかったことが分かりました。
また、ラットの実験では
果糖の多い食べ物はPAI-1を増やすとの結果です。
(*液性ブドウ糖果糖などが入っているジュース類は危険)
実験ではアントシアニンでも
PAI-1濃度が低下します。
アントシアニンはブルーベリーのような
色の濃い野菜や果物に多く含まれます。
全体的にはやや低糖質の食事がよさそうです。
糖質をガバーッととる食事は
遺伝子に沿っているとは言えないし、
妥当な結果と思えます。
運動についてもLDLコレステロールの多い若年男性では
12分間の全力疾走という過激な運動が
PAI-1を増やすという実験があります。
これって、マラソンなどの途中での
心筋梗塞や脳梗塞の原因に
PAI-1が大いに関与していそうですね。
というわけで、
糖質の多い食事や過激な運動は止めてしまいましょう。
どちらもヒトの遺伝子に沿っているとは思えません。
そして、油を増やしてみましょう。
もちろん、脂質は質にこだわって。
(糖質だって、タンパク質だって、
脂質だって、ミネラルだって、
ビタミンだって、運動だって、
何だって質が大切にです)
太った中高年男性が過激な運動を
していると思えませんので、
それ以上運動を減らさない方がいい方も
たくさんおられるでしょうね。
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Dr’s Meのコラム
もご覧下さいね。
参考 Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1996 Jan; 16(1):82-8
Nutrients 2012, 4(8), 1137-1150
Am J Clin Nutr. 1998 Sep; 68(3):568-75
http://www.physoc.org/proceedings/abstract/Proc%2037th%20IUPSPCD239
URAKAMI FOUNDATION MEMOIRS Vol.14(2006)63-70