インフルエンザワクチンのメリット、デメリット。ワクチンを打つ前によく考えるべき3つの理由。 感染や発症を防ぐのか?

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毎年、秋になるともインフルエンザのシーズンがやってきますね。
皆さんは何か予防をしておられますか?

インフルエンザの予防といえば、
ワクチンが思い浮かぶと思いますが、
ワクチンを打ったけどインフルエンザになった、
なんて話を聞いたことがある方もおられるでしょう。
正直、ワクチンの必要性は
医師の間でも議論が分かれています。

いったいワクチンは意味があるのか無いのか、
どっちなのでしょう。

打った方がいいのか違うのか、
どちらなのでしょう?

私の結論は、
打つも打たぬもよく考えてから
というところです。

年齢、病気があるかどうか、
どんな生活をしているか、
どんな考え方の持ち主かで
決定すると良いと思います。

たとえば、病院に勤務中の私は
4-5年間、毎年打っていましたが、
今の私は打っていません。

それぞれの環境で判断が変わってくる訳です。

なんとも切れ味の悪い結論ですが、
どうして白黒はっきりさせられないのか。

その理由はいくつかあります。

その前に
インフルエンザのワクチンの意味や危険性を
正しく考えてみましょう。

まず、最初にまとめです。

適応度を1-4に分けてみました。
ワクチン目安
1 しない方がよい
2 それほど価値がない
3 してもよい
4 する価値がある
とかなり大雑把に分けています。

個人的な見解なのでそこはご了承下さい。

[インフルエンザはどんな病気?]

さて、インフルエンザとはそもそもどんな病気なのでしょうか?
大多数の人は高熱が3-4日続き、
咳や痰、鼻水、
関節痛、筋肉痛などがあり、
1-2週間程度休みが必要だが、
自然に治る病気です。

いわば、ほっときゃ治る、というものですね。

本来、解熱剤なし、
タミフルやリレンザなどのインフルエンザの薬なしで、
自然の体の力で治る病気です。

私も多くの患者さんに、
そう説明してきましたし、
今後もそう説明するでしょう。

さて、問題なのは次の2点です。

心臓に問題があったり、
喘息など呼吸器官に問題があったり、
脳卒中後遺症などで寝たきりだったり、
それなりに年配の方などでは
体の抵抗力が少なく、
細菌性肺炎など、他の合併症を起こしたりして
入院が必要になったり、亡くなることもある。

また、頻度はそれほど多くありませんが、
特に小児の場合、
まれに普段健全な子でも脳症などの重篤な症状があり、
死亡したり後遺症が残ることがある

という点です。

[インフルエンザ・ワクチンに対する期待]

さて、インフルエンザワクチンに
皆さんはどんな期待をされているでしょうか?

感染を予防する、
つまりウイルスがうつらないこと
期待している人も多いと思います。

ワクチンのおかげでうつらなければ、
学校や職場での集団感染を防ぐことが出来るわけです。

また、発症予防(症状が出ないこと)を期待している人もいるでしょう。
これはうつっていても
自分で気がつかない、
全く症状が出ない、
ということです。
多くの人はこれを期待されているのではないでしょうか?
ただし、症状がないだけでウイルスがうつっている人は
他の人にうつす可能性がありますから、
本当は集団の中には行かない方がいいことになります。

もう一つが重症化の予防です。
これは症状が出てもひどくならないことという意味で、
熱や咳が出たけどたいしたことがなくてそれほど困らなかった
という様な感じです。

多くの人がこれらを全てごちゃ混ぜにしているから
難しくなるのです。

インフルエンザワクチンに意味があるのかないのか
ここでは、
・感染予防(うつること)、
・発症予防(熱などの症状が出ること)、
・重症化予防(入院が必要の様なひどくなることを防げるか)
に分けて考えてみましょう。

[感染や流行の予防効果]
のどや鼻などの気道にウイルスがくっついて
体の中に入ることを感染といいます。
いわゆる、うつる、ということですが、
この効果ははっきり言って0です。

厚生省もあるいは製薬メーカーもこの効果はない、
と断定しています。

厚労省のインフルエンザQ and Aにも
感染の予防の効果はないと歌っていますので、
興味があればごらんになったら良いと思います。

インフルエンザウイルスの侵入場所が鼻やのどで、
ワクチンを注射で打った場合、
武器とも言える抗体は血液中の中にあるので、
「感染」つまりうつることそのものを予防するカはないのです。

つまりウイルスがあれば
ワクチンを打ってもうつってしまい、
その結果、その人に発熱などがあろうがなかろうが、
他の人にもうつしてしまう可能性がある、
ということです。

ただし、ワクチンを打っていて、
速やかに体からウイルスを退治できる人は
それほどウイルスを大量に放出するわけでは
ないでしょう。

私たちが子供の頃は学校で強制的に予防接種をしていました。
でも、集団接種をしてもしなくても
流行にはそれほど大きな変化がないことが
前橋市らの調査で判明し、
94年から集団接種がなくなったのです。

だから、「全くうつらない」ことを期待するのは
そもそも間違いですし、
症状がないからといって
うつっていないとも言えないのです。

[発症をどれだけ予防するか]
やや議論が難しいところです。

高熱などの症状がなければほぼ、自覚することが無く、
医療機関に行って痛い検査をすることもまずありません。
従って、発症予防効果を確実に推定することは現実には困難です。

先の前橋市らの調査では
子供が2回接種すると
多少、罹患率が下がっていますから
これは効果があるように思えます。
しかし、これは正確なインフルエンザの診断が
できなかった(と思える)時代の話です。

疑陽性、疑陰性(事実とのくい違い)があるとはいえ、
最近は、インフルエンザの迅速検査といって、
検査して数十分でインフルエンザかどうかがわかる検査法が
一般的になりました。

しかし、以前はすぐにわかる検査法がなく、
症状から「インフルエンザだろうねぇ」、
という診断をしていました。

アメリカ疾病予防センター(CDC)の報告では、
インフルエンザらしい症状で検査した人の
80%は他の病気だったと報告しています。

一方、
慶応大学らが2013-14年の間に診療した4727人のうちの、
インフルエンザ検査が陽性だったA型876人とB型1405人の
6ヶ月から15歳の小児を対象にワクチンの効果を分析したところ、
ワクチンの発症予防効果は平均45%
A型は63%、H1N1に対しては77%、B型は26%と報告しています。

患者さんの中にも、
ワクチンを打ったのに風邪を引いた、
という方がよくおられましたが、こ
れはワクチンのせいではなく、
ワクチンは風邪の発症を予防しない、
ということが誤解されていることから起きています。

アメリカなどの報告でも有効率が0-7%という報告から
CDC(アメリカ疾病予防センター)の47-62%という報告まで
ピンキリなのはこの辺の事情なのかもしれません。

私自身は当たり年(別記)には
それなりの発症予防効果があるのだろうと思っています。

[重症化の予防]

重症化した子供は喘息や心疾患など、
もともと病気がある子供が多かったのですが、
CDCアメリカ疾病予防センターは
2012-13年のシーズンに
インフルエンザ関連の病気で亡くなった子供の90%は
ワクチンを投与されていなかった報告しています。

日本では平成11年度の報告で、
65歳以上の健康な人には45%は症を阻止し、
80%死亡を阻止する効果があったと報告しています。

また、正式な報告ではありませんが、
94年度以降、インフルエンザ脳症で病院に入院する子供が増えた
という小児科医もパラパラといます。

つまり、一定の重症化予防効果があると考えても良いでしょう。

さて、ここまでいかがでしょうか?
ちょっとすっきりしましたか?

私の見解も含めた判定ですが、
感染を予防する、
つまり全くウイルスがうつらないような効果、
はありません

しかし、重症化の予防効果はあり、
発症予防効果もあるのではないかと思います。

症状が軽くなるか出ない可能性があるなら、
打ってもいいじゃん、
で終わりにしたいところですが、
実はインフルエンザワクチンには
まだまだ問題が含まれています。

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コメント

  1. シンイチロウ より:

    この10年ほどインフルエンザワクチンなど
    予防接種は一切してませんが
    とくに問題なく生きています。

    風邪をひいたときはニンニク餃子を食べて、
    体を温かくして寝ます。

    たいてい二-三日で治ります。
    風邪薬もほとんど飲みません。

    冬はヒートテックを着て
    体温が下がらないように心がけています。

    また東京のように人が多いところに行くときは
    必ずマスクをします。

    1. 松本 明子 より:

      シンイチロウさん
      コメントありがとうございます。
      ワクチンはその人に応じて。
      ニンニクも抗菌作用などがあり
      私もよく食べます、
      「たいてい二-三日で治ります。」
      すばらしい健康状態ですね。
      風邪薬も基本的に無意味ですから、
      飲まないで正解ですし、
      マスクの活用も口や鼻を暖かく湿らせて
      有効ですから今後もご活用下さい!