脂肪組織が作る悪玉と呼ばれる
アディポサイトカインの一つにTNF-αがあります。
TNF-αはもともと、
ガンなどの腫瘍を殺す物質として発見されました。
単球が変身したマクロファージや
他の兵隊細胞であるTcell、NKcellなども、
外敵をやっつけるために作っています。
ガンや結核などの敵をやっつけるための武器なのです。
ところが、肥大化した内臓脂肪組織が
これまたこのTNF-αを作っているのです。
で、内臓脂肪が働きすぎて、余分なTNF-αができるのです。
(脂肪細胞が作るのではなく、
脂肪組織のマクロファージが作っている
という考え方もあります。)
適正な量で適正なことだけをしていれば体に重要な物質ですが、
余分にあると余計なことをしやすいものです。
リウマチ、
潰瘍性大腸炎、
クローン病、
皮膚の病気の乾癬などの
自己免疫性疾患だけでなく、
花粉症、
骨粗鬆症、
糖尿病、
高脂血症
など色々な病気と関係していることが知られています。
メタボに関連することとしては、
筋肉や肝臓などの細胞内への
ブドウ糖の取り込みを邪魔して、
インスリンの効きを悪くします。
(インスリン抵抗性)
脂肪細胞や肝臓の細胞で脂肪酸を作らせ、
中性脂肪を増やします。
好中球という白血球を働かせて血管の細胞を壊したり、
血栓を作りやすくします。
また、血管内皮細胞のミトコンドリアを傷つけて
血管を傷つけます。
つまり動脈硬化ですが、
これが心筋梗塞や脳卒中の原因です。
骨はつねに壊れて新しく作られて
全体として量がほとんど変わらないのですが、
TNF-αは骨を溶かすように促すので、
骨粗鬆症を進めます。
色々なところに影響を及ぼすのです。
ところで、このTNF-αって、
食事で減るのでしょうか?
健全な成人の場合、
魚の脂で減るという報告があります。
日本で普通に魚が食べられる状況が
羨ましい限りです・・・。
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もご覧下さいね。
参考
N Engl J Med. 1989 Feb 2; 320(5):265-71
Am J Clin Nutr. 2002 Aug; 76(2):454-9