「誤診で死亡」は本当か?

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2014年3月12日の記事に、
どこまで正しいかは分かりませんが、
こういう記事が載っていました。

長崎県新上五島町の上五島病院で2010年、
入院中の女子中学生、当時(13歳)が死亡したのは
誤診が原因として、
両親が約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、
長崎地裁は誤診と判断し、
病院企業団に計約6455万円の支払いを命じた。
担当医は腸炎と診断したが、
実際は急性心筋炎だった。
井田宏(いだ・ひろし)裁判長は
「重度の心筋炎を疑い、
治療が可能な医療機関へ転送していれば救命できた。
転送義務に違反した」と判断。

過失はないとする病院側の主張を退けた。
 判決によると中学生は10年9月、
頭痛や吐き気を訴えて救急外来を受診。
病院は投薬などの処置をしたが症状は改善せず、
3日後に死亡した。

これを読んだら皆さんはどう思われますか?
どうして分からないの?
医者は何をやっとるンだ!
ってきっと思われますよね。

何よりまず患者さんの冥福をお祈りします。
亡くなられたお嬢さんの親御さんも
どんなにか心を痛められたことでしょう。

さて、私はその病院の
お医者さんのことは分かりませんので、
病院や担当の先生の評価はできませんが、
病気の説明をしておきます。

心筋炎はウイルスが心臓にくっついて
あっという間に心臓が働かなくなる病気です。
早いときは症状が出てから1日以内に亡くなることも。
診断できたら助かるという病気ではありません。

最初の症状もほとんど症状がないもの、
ちょっとだるい、という程度のものがほとんどです。

しかも怖いのがゴクゴク普通の若者にも起きることです。
前日は普通に会社に出勤し、
ちょっとだるいのでいつも夜中の12時頃に帰るけど、
前日だけは9時頃帰った。
当日は普通に外出中、車の中で意識が無くなり、
既に心停止でそのまま亡くなった、という患者さんもおられます。

患者さんに若者が多いのは、
どこにでも漂っているウイルスで起きるからです。
しかも、普通に歩いて病院に来られます。
見た目も元気ですし、診断も難しいのです。

さらに劇症型心筋症は手を尽くしても
循環器専門病院でも50%前後は亡くなる病気です。

あっという間に亡くなる病気といえば、
心筋梗塞や動脈瘤破裂も。

ガラの悪いやくざ風の中年男性が
「腹が痛いんや~、胃潰瘍なんや~」と怒鳴りながら
お昼休み中に来られたことがありました。

たまたま通りかかった私が呼び止められました。
胃薬がいる!前、胃潰瘍になったことがあるんじゃ~。
早うせーとか、怒鳴りまくっているので、
若い私は少々怖かったのですが、
とにかく心電図をとりましょう~と
心電図をとったら急性心筋梗塞。

循環器の先生を呼んでいるうちに心臓は止まりました。
幸い後遺症も無く退院されましたが、
この間わずか数分の話です。

普通の診察時間帯でおとなしく待っていたら、
あるいは午後の診察時間帯を待っていたら
そこで倒れてそのまま亡くなっていたでしょう。

本当にあっという間に亡くなる病気など
いくらでもあるのです。

「医学は万能なはず」
と思っている人や裁判官は多いでしょうが、
「医学って万能です」
という医者がいたら是非お目にかかりたいですね。
おそらくものすごい藪医者だと思いますよ。

世の中治らない病気、助けられない病気は山ほどあります。
全てが助かるなら誰も死にません。
そこはどうぞご理解頂きたいです。
医者が万能を求められるのなら、
日本から医療は無くなるでしょう。
現に今、救急医療をしない医療機関が増えています。
「救えない突然の病気」はいくつも存在するのです。

結論を言いましょう。
判らない病気は判らない。
助からない病気は助けられない。
人はいつか死ぬ。

今の医学ではこれが事実です。

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