めまいは日常よく起きる症状です。
私はスケートでスピンしたときに
めまいのような感覚を覚えますが、
今日はめまいについて解説します。
注)「めまい」は病名ではなく、色々な原因(内耳や脳、心血管などの異常)で起きます。
めまいとは、
グルグル回る感じのする回転性のめまい、
フワフワとする浮動性のめまい、
気を失いそうな感じ、
ふらついたり平衡感覚がおかしくなることを含んだ表現です。
めまいと聞くと「メニエール」と思う方も多いでしょうが、
実際には内耳性のめまいは30%程度で、
心血管・脳・呼吸器・精神的な問題でも起きます。
このうち今回は回転性のめまいについて取り上げます。
症状
主にグルグル回るようなめまいです。
壁や景色が回るように、流れるように見えたり、
体が傾いて、片方に寄っていく様な感じがあります。
まさに、スケートでスピンした後や
回転する椅子でグルグル回って遊んだ後に起きる
グルグル感です。
主な原因疾患は
・内耳性のめまい
(良性発作性頭位めまい症 (BPPV)>>メニエール氏病>前庭神経炎)
・片頭痛性のめまい
・脳血管疾患(脳梗塞や脳出血など)
(小脳>>延髄>大脳)
・肩凝りや筋緊張性頭痛
などです。
特にこの中で頻度の多い
良性発作性頭位めまい症 (BPPV)と
メニエール氏病を
見てみましょう。
この二つは、「グルグル回るめまい」という症状は似ていますが、
病気としては全く異なり、治療も異なるので区別が必要です。
良性発作性頭位めまい症 (BPPV)
小さな耳石のかけらが変なところに入り込んで、
三半規管(赤い四角の中)内のリンパ液の流れを邪魔することによって起きます。
以下のような特徴があります。
1)多くが40歳以降に発症
2)以前からの耳鳴や難聴があっても
増強しないし、聴覚に問題が起きない
3)起きあがったり、寝返りしたり、
後ろや上下を見たり、髪を洗ったりといった特定の動作で起きる
4)多くは強烈なめまいで10秒以内で、長くても1分以内
5)同じ動作を繰り返すと症状が軽くなり、
長い安静の後(朝起きたときなど)に症状が出やすい
6)多くは2-3週間以内に自然に治まる
7)数ヶ月~数年後に再発することがある
8)慢性化することもある
9)立ちくらみ・吐き気・◦嘔吐 (稀)などが起きることがある
10)頭部外傷の後に起きることもある
11)骨粗鬆症があることもある
BPPVは耳の中の小さな石が動いて起きるので、
石が溶けるか元に戻らないと治りません。
めまいの薬は役に立ちません。
その代わり体操がかなり有用です。
治療法
体や頭を動かすことで治す
エプリーE法・
セモンSemont法、
ローリングマヌエーバー法(朝と晩に床の中で頭を左右に動かす)などがありますが、
初めは熟練した耳鼻科医や理学療法士のもとで実践することが最良です。
繊維の多い食事も有効とされます。
メニエール氏病
メニエール氏病は、内耳のリンパ液がきちんと排泄できずに
過剰に貯まることによって引き起こされると考えられています。
BPPVと違い、カタツムリの形をした蝸牛にもリンパ液が流れているので、
難聴、耳鳴などの症状を伴います。
(赤い長方形で囲んだ全てが病変)
悪化する原因として、片頭痛、ウイルス感染、アレルギー、遺伝が含まれます。
特徴として以下のような点があります。
1) 突然に始まり、立っていられないほどだが、数分から数時間で自然に治まる
2) 40-50歳代の女性に多い
3) 患側に耳鳴り(ブーンという換気扇の様な低い音)や
低音中心の難聴(進行すると全周波数で難聴)、
耳閉感(耳がつまった感じ)がめまいと前後して起きる
(30%は両方の耳に起きる)
4) 日に数回から数年に1回と様々だが再発することが多い
5) めまいがひどい場合は吐き気や嘔吐が起きる
6) 先進国に多く、精神的・肉体的なストレスが誘因となり
交感神経過剰状態と考えられる
7) 運動不足・睡眠不足などで起きやすい
8) 20~40歳代の女性の多い低音障害型感音難聴はメニエール氏病の1種と考えられる
治療
・ゆっくりとできる場所を見つけ、
目を閉じて目の前にものがあるようにイメージしてそれに焦点を合わせる
・耳鳴りに対してはゆっくりとした音楽を聴いたりヨガのようなくつろげることをする
・塩分制限 1日でNaを1.5~2g程度に制限する(食塩で3~4g)
・加工食品には大量に食塩やMSG(うまみ調味料)が含まれているので避ける
・水分を充分にとり、内耳のリンパ液を正常の状態に保つ
・指圧
・内耳に充分に血流を確保するため、脈が100-120程度になる運動を最低でも週3回以上する
・イチョウ葉エキスは脳の血流量を増やす。
質の良いイチョウ葉エキス+ATPを増やすLカルニチンを含んだサプリメント
・ビタミンB12 (効果にしばらくかかる)
栄養療法でも使われる、信頼の置けるビタミンB サプリメントはここ
・ATP製剤
ミトコンドリアのATPを増やすサプリメント カルニチン
ミトコンドリアのATPを増やすサプリメント ケルセチン
サプリメントは栄養療法で用いられるような高品質のものでないと意味がありません。
成分名が同じだからと言って飛びつかないで下さいね。
どちらのめまいに対しても効果的とされるアロマ
私自信は日本では入手できないモノを主に使用しているので、
下記の会社の製品の一部の製品を使ったことがありません。
良さそうなものを選んでおりますが、
私は製造・販売には関与しておりませんので
ご理解下さい。
その他、バジル、ショウガ、バラのエッセンシャルオイルも有効です。
キャリーオイルで薄めて皮膚に直接付けたり、
お風呂に入れたり、
ディフューザーを使ったり、
化粧用コットンなどにに1-2滴浸して(これが一番初心者向き)吸入すると良いでしょう。
余談ですが、薬剤性に(広義の)めまいが起きることもあります。
めまいを引き起こす可能性のある薬
抗痙攣薬
高血圧の薬
抗生剤
抗うつ剤
抗精神病薬
抗炎症薬
Journal of Pharmacology & Pharmacotherapeutics, “Vertigo/Dizziness as a Drugs’ Adverse Reaction” December 2013
初期治療が遅くて慢性化することがありますので
どんなめまいであれ、できるだけ早く診察してもらいましょうね!
深謝 日大 野村先生、ありがとうございます